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施工事例

スズキ|GT380 シリンダーヘッド 光沢ウェットブラスト施工

スズキGT380ウェットブラストシリンダーヘッド

ウェットブラスト(Wet Blast)は、水と研磨材(メディア)を混合して吹き付ける表面処理方法である。ドライブラスト(サンドブラスト)のように金属表面を強く削る処理とは異なり、素材を「磨く」ように作用する点が大きな特長となる。加工後の表面はしっとりと滑らかで、微細な光沢を帯び、金属本来の質感や立体感を自然に引き出すことができる。

当工場で行う標準ウェットブラストでは、ガラスビーズ200番程度のメディアを使用している。落ち着いたマット調の光沢と高い均一性を持ち、腐食除去後の下地処理としても安定性が高い仕上げだ。一方、新車時のクランクケースやエンジンカバーと比較すると、ややマット感が強く、白っぽく見える傾向があり、レストアで新車再生を目指す場合には自然な艶という点でわずかに物足りなさが残っていた。

そこで試行錯誤を重ね、標準仕上げをさらに引き上げた独自の「光沢ウェットブラスト」を開発した。粒度の細かい特別ブレンドのガラスビーズを使用し、改良した専用装置によって大量の水流と高圧空気を組み合わせ、長時間処理を行う。これにより、一般的なウェットブラストでは到達できない高い表面密度と、上品で自然な艶を実現している。単に綺麗というだけでなく、新車時に近い金属光沢と深みのある質感を併せ持つ仕上がりとなる。

光沢ウェットブラストの価値は外観にとどまらない。処理後の表面は滑らかさと密度が大きく向上し、毛細管現象によるアルミ腐食を大幅に抑制できる。微細な凹凸や隙間への水分や汚染物質の侵入が減少することで、美観と耐久性を長期間維持することが可能となる。

サンドブラストは腐食除去に有効な反面、処理後のアルミ表面には注意が必要だ。表面に形成される微細な凹凸により毛細管現象が起こりやすく、水分や塩分が保持されやすくなる。さらに酸化被膜が破壊されることで親水性が高まり、腐食進行を助長する要因となる。これに対し、ウェットブラストは水を介することで衝撃が緩和され、表面をより均一かつ滑らかに整えることができるため、耐食性の面で優位性を持つ。

ただし、光沢ウェットブラストであっても万能ではない。深い腐食やピットがある場合、完全な平滑面に仕上げることは難しい。また、すでに強いサンドブラスト処理によって表面が荒れている場合、その修復は困難で、取り返しのつかない状態となることもある。レストアでは、素材の状態を見極め、最適な処理方法を選択することが重要だ。

沿岸部や寒冷地など、腐食が進みやすい環境での使用を想定する場合には、セラコートクリア(MC-5100)の併用が有効となる。極薄膜で施工でき、高い耐腐食性と耐薬品性を備えているため、光沢ウェットブラストの質感を損なうことなく、長期間の保護が可能となる。

BEFORE - AFTER

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